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突撃!「エコ企業」訪問 〜キリンビール株式会社〜

創立100周年。「おいしさを笑顔に」というスローガンのもと、 「食と健康」のよろこびを提案しつづけるキリンビールが目指す 環境保全活動「チーム・エコジロー活動」の取り組み

CSR推進部社会環境室長の山村宜之さんと同社コーポレートコミュニケーション部の小倉夕佳さん

CSR推進部社会環境室長の山村宜之さんと
同社コーポレートコミュニケーション部
の小倉夕佳さん

キリンビールさんは、リターナブルビンをはじめとした「廃棄物ゼロ」「再資源化100%」、 また自然保護活動として「水源の森づくり」などを推進しています。

中でも、一般の消費者にもっとも近い企業として環境コミュニケーション活動にも注力し、 環境活動のシンボルキャラクター「エコジロー」が コミュニケーションの媒体として活躍しているようです。

そこで、今回は「エコジロー」による活動を中心に、 CSR推進部社会環境室長の山村宜之さんと、 同社コーポレートコミュニケーション部の小倉夕佳さんにお話をおうかがいしました。

Q:エコジローが生まれた背景にはどんなことがあったのでしょう?
A:
(山村)私たちの企業は、 クルマや家電メーカーのようなエコ商品は出しにくい企業です。
その中で、いかに「環境のことを考えている企業」であるかを示していくには、 主婦と子どもにメッセージを送るのがいいと考えたのです。
家庭でキリンの商品を買うことが多いのは主婦ですし、 特に環境に興味を持っているのは子どもを持つ主婦ですから。
(小倉) 環境というと「難しい」というイメージがありますが、 エコジローを通じて情報を発信することで、 お客さまとのコミュニケーションがよりスムーズにいくことがあります。
イベント会場などにエコジローが登場すると、 お客さまはまずエコジローに興味を持ち、 後で環境活動の一環であることを知る。
お客さまの方から駆け寄ってくださって、 ダイレクトにコミュニケーションができるわけですね。
Q:ビールは成人対象の商品ですが、 エコジローの方向性、役割や目的はなんでしょう?
A:
(小倉) エコジローは、キリングループの取組みだけでなく、 一般的な環境の取組みについても紹介し、 お客様と一緒に環境を考えるキャラクターとして 大切に育てていきたいと思っています。
(山村)かわいらしいキャラクターは、 未成年者飲酒につながる可能性があります。
だから、商品に付随してアプローチすることは難しいのですが、 エコジローを使った環境広告やホームページでの展開により、 企業としての環境の取組みを分かりやすく、 親しみやすくお伝えしていきたいと考えています。
エコジローのホームページは検索数は増えているので、 認知度が高まっている手応えは感じています。
Q:クリーンスタジアム活動について。 サッカーとエコ、その発想の背景にはどんなことがあったのでしょう?
A:
(山村) 日本代表オフィシャルスポンサーということもあり、 2003年から(財)日本サッカー協会とともに、 日本代表戦における会場の環境の取り組みとしてはじめました。
最初は、スタジアム内で使用される紙コップなど、 素材自体を環境的なものにしようと考えましたが、 素材の善し悪しよりも、行動することで環境意識を訴えようと、 試合後にゴミ拾いを行うクリーンサポーターを募ることにしたのです。
日本のサポーターのマナーの良さが世界的に取り上げられたのも、 ちょうどその時期ですね。
(小倉) 「安全できれいな環境で観戦するために、 できることからはじめよう」とスタートして、 今ではクリーンサポーターの参加数はのべ8000人を超えています。
参加者には認定書が配布されます。
会場内では、エコジローのポスターや着ぐるみによる、 ゴミの分別回収の呼びかけもしていて、 会場から「エコジロー!」と声がかかることもあります。
Q:廃棄物ゼロ、再資源化100%を実践していますが、 消費者にはどのように伝えているのでしょう?
A:
(山村) 98年から実践していますが、 これは社内では「当たり前」という意識がありましたので、 特に公開すべきことではないと思っていたのです。
ところが、最近「すごいですね、どうやって実現したの?」 などと尋ねられるようになり、 実現にあたっての苦労話などをホームページなどで公開してもいいかな、 と思っています。
Q:一例として、ビール酵母を再利用した商品 (「キリンヤクルトネクストステージ社(ヤクルトとの共同出資)」製) について再資源商品をうたっていないのはなぜでしょう? ホームページなどでも商品そのものを紹介されていませんよね?
A:
(山村) 再資源化、というと商品的に イメージがいいのかどうか疑問があります。
まだ、ビール酵母自体の機能性も知られていないので、 「ビール酵母は健康的で、体にいい」といった 機能性を出していった方がいいと思うのです。
Q:「ラガー」「クラシックラガー」「極生」において、 日本では珍しい「タイプ3(製品としては世界初の「aTULCカン」)を 採用していますが、消費者に採用の意図が伝わっていると思いますか?
*タイプ3のエコラベル・・・製品の製造から使用、 廃棄に至るライフサイクルの各段階で、 CO2の排出量や消費資源量などの環境負荷のデータを定量的に示すもの
A:
(山村)商品でエコ容器であることを知っていただければいいのですが、 それがなかなかダイレクトに商品販売につながらないのが現状です。
以前、リターナルビンの広告を出し続けていた時期があったのですが、 広告としては賞をいただき話題になりましたけれど、 実際に、お客さまがカンではなくリターナブルビンを選択するか、 といったらそうではなかったのです。
つまり、容器への環境配慮というのがお客様の選択には入らなかったということです。 リターナブルビンは繰り返し使えば環境負荷が下がるのだけれど、 それが捨てられると、かえって環境負荷がかかります。
エコ容器はどうしたら受け入れられるのか、ずっと長い間、試行錯誤しているのです。 商品を通してのエコ・コミュニケーションとしては今後の課題ですね。
Q:今後はどのように「チーム・エコジロー活動」を展開されるのでしょう?
A:
(小倉) 1999年から全国11カ所にあるビール工場と グループ会社の水源地で森林保全活動を行ってきました。
ホームページで行っているエコジロークリック募金は 全国の水源林保全を行う(社)国土緑化推進機構等に 1クリックにつき1円寄付するというもので、 月間50〜60万円くらいをクリックしていただいた方にかわって寄付をしています。
また、工場見学の中で、ものをつくる現場と、 その現場で環境にどのような配慮をしているかを見ていただく 「エコ・ブルワリーツアー」や「夏休み環境教室」なども開催しています。
工場見学には年間90万人を超えるお客様が訪れるんですよ。
(山村) 今は、工場見学やクリック募金のような、 興味を持っている人にきちんと届くやり方で、 企業姿勢を認知していただいています。
でも、もっと幅広い人に認知していただくことがこれからの課題ですね。

「廃棄物ゼロ」「再資源化100%」の実現を「当たり前のこと」ととらえ、 まだ環境問題がうたわれる以前から、 ラベルのないビールビンのビジュアルでリサイクルを訴求した広告をつくるなど、 いち早く環境保全に取り組んできたキリンビールさん。

「環境が趣味」という山村さん、 「環境のことをわかりやすく伝えていきたい」という小倉さんたちが、 今後も企業のお手本となるべく「チーム・エコジロー活動」を 推進されるよう期待しています。

取材へのご協力、ありがとうございました。